差し込み・アシストの基礎
差し込みとアシストに関する考察です。
以降の文章では、
差し込み:=他家聴牌に対し、ロン牌と思われる牌を切る
アシスト:=他家ノーテンに対し、鳴かせるための打牌をする
と表記します。
差し込む意志
まず意識しておきたいのが、
これらの技術の8割は使用する意志の有無によって決まるという点。
差し込みにはロン牌やフーロ受けを読むことが大事と思いがちですが、
アシストする側は鳴いてくれなかった牌を次は切らないという特徴があるため、
別にアシスト対象の手を読む技術がなくともそこまで遅くはなりません。
(牌効率では裏めった牌や無駄ツモも何度もやってくるため受けを広く取れないことが致命的になりますが、差し込みやアシストではミスするほど次のアシストが正確になっていくため遅れが大きくなりません。)
もちろん早く張ってくれることに越したことはありませんし、
聴牌者が二人いるときに一刻も早く片方にさしたい場合には読みが重要になりますが、
差し込む意志があるかないかの影響に比べて読みの精度の影響は小さいです。
「中張牌をバラ切ろうと思えた時点でアシスト技術は80点」
と言う点を意識して、読み技術がない人も差し込みやアシストを戦術に組み込みましょう。
差し込み・アシスト判断
アシストをするか否かの判断は、
「アシスト対象の和了」 「他家の和了」 「自家和了」
それぞれによる自分の着順を比べて決めることになります。
まずは最も簡単で、かつ成績に影響しやすい場合の考察から入ります。
自家和了と差し込み対象の和了の自家着順が同じ
要するにあがっても上の着順が無い状態で、
下家にあがってもらうか自分があがるかどちらが早いかという判断になります。
(1)下家にフーロが入る
まずはフーロ手が確定した場合を、参考手牌を用いて比べてみます。
・自分がすべて好形の完全2向聴














この平均テンパイ巡目が34/7+34/5で11.6巡くらい
・下がすべて愚形の2向聴の鳴き手










この平均テンパイ巡目が34/3+34/2で28.3巡くらい
ここに自分がアシストする分を考えると、
自分が切る牌は下の欲しそうな牌であること(読めずとも鳴かなかった牌や、現物は切らないため低くとも1.5倍程度有効牌であると推定。読み技術があれば2.0倍クラスにすることも可能)を考慮にいれれば、
28.3/2.5(下のツモ1+自分のアシスト1.5)=11.3巡くらい
かなり乱暴な近似と簡単な計算ですが、目安にするにはこのくらいで十分でしょう。
このレベルの手牌差でもテンパイ速度は同等であり、
・差し込みまで面倒を見ることができる。
・自家が面前ではリー棒が必要になる。
・着順競争相手とめくりあうのが自家と下家では、敗北が自家放銃でない分下家と闘わせる方が被逆転率が低い。
等のさらにアシスト有利になる理由を考えれば、
下が鳴き手と判明した場合、
「こちらも鳴ける好形手やすでに好形の一向聴でない限りはアシスト・差し込みに回るべき」
となります。
自家











で、下家が発ポンをした場合、
たとえ下家が 








のような形だったとしても、
や
を切っていく方が決着が早いということですね。
これは非常に大事なことです。
通常の牌効率技術を鍛えることは、和了率にして1%の差を競うことになりますが、
このアシスト技術は自分の和了と同等の効果を得る下家の和了を、
10%、場合によっては20%レベルで増加させることができます。
・トップ時に3確手にアシスト
・3着時に上がりトップにアシスト
だけでも意識してみると終盤の着順死守率を大きく変えることができます。
ちなみに素点制のフリーでは役に立たないと言う意見がありますがそんなことはありません。
トップのウマオカだけで4万点、被逆転時にチップも失う場合が多いことを考えると、
差し込んでトップ死守率を10%あげることができれば4000点相当の価値になります。
20%以上上げれるような状況(下家が染めていて鳴かせるのが容易、自家が遅い、競争対象がドラポン下家がラス目等)
においては8000点以上の価値となりますから役に立たないどころか素点制でも非常に重要な技術になります。
(2)下家が鳴き手かわからない
下家が鳴き手か分からない時について考えます。
これは一般化が非常に難しいので、正確な基準は求められていませんが、
おおよその基準を推測することは可能なのでそれを記します。
全家和了率を、
自家:アシスト対象:競争相手:無関係他家
で表します。(単位は%)
面前、鳴き含め差し込みまで行うとして、
自分が下にアシストし、下家が鳴き手の時の全家和了率を、
0:40:20:25とし、流局は無視します。
(鳴かせた相手の手の進み、競争相手以外への差し込みを考慮)
自分が下にアシストし、下家が鳴き手でなかった時の全家和了率を、
0:30:25:30とし、流局は無視します。
(競争相手以外への差し込みを考慮)
下家にフーロ手が入る確率を30%とすると、
競争相手の平均和了率は大体23%
これは全員が和了を目指した場合の平均より少し高いくらいです。
このくらいの仮定で平均より少し高い程度と言うことなので、
自家の和了率が平均より高い(22%を超える程度)と判断したなら文句なく自分の和了を目指す、
逆に自家の和了率が平均より低いと判断したら下家の鳴き手が確定していなくとも下にアシストに回る。
と考えることができます。
ちなみにこの平均的な速度の手牌と言うのは難しいことですが、
麻雀は境界線上の判断は成績にあまり影響しないため、
微妙なラインの手牌を正確に判断する必要はありません。
明らかに和了率が平均より下回りそうな手牌の場合にアシストに回るだけでも、
技術としては非常に有用になりますのでそれで十分です。
差し込むことで自分の着順が落ちる可能性がある場合
例えば2位と6000点差の1着の場合、差し込みでは着順が落ちる恐れがあります。
この場合にアシストを行うかの判断です。
とりあえず手牌の判断や下家のフーロの有無で自家の和了より差し込みが早いと判断できるとします。そうでなければ自家和了を目指せばいいですので。
この場合ですが、まず「着順が変わる恐れがあるため差し込むことができない」という考えは間違いです。
麻雀はパーセンテージゲーム(確率的に有利な方を選ぶが、それが必ずしも結果論的な正解とはならないゲーム)であるため、
「競争相手の和了による逆転と、アシスト相手に刺さった場合の逆転のどちらが少ないかを比べるべき」ということなります。
要するに
アシストしたせいで着順が落ちてしまう確率 < アシストしなかった場合に着順が落ちてしまう確率
であるならば、
例え着順が返る確率があろうともアシストを行うべきという考えになるということです。
それを踏まえて差し込みの種類それぞれに対しての比較を行っていきます。
(1)リーチに対して差し込む
まず考えることは、
跳満に刺さってしまう確率は競争相手が上がる確率よりはるかに小さいことです。
よって競争相手と8000~11000差あたりなら即差し込みます。
(即といっても一発順は回避すべきですが)
一応11000~12000の間のみ、競争相手の満ツモでも返らないが跳直で返るので差し込みを控えますが、レアケースなので意識しなくてもいいです。
さらに競争相手が親なら、降りてもこの局で決まらない(連荘時に再度25%で逆転される)ためかなり差し込み有利になります。
また留意すべきなのがリーチ者のリーチの意味です。
リーチ者が何点挙がっても着順が同じ(和了トップ等)なら、
リーチ以外に出上がりが利く役がついていない可能性が非常に高いです。
平和をダマることが正着となっている他家のリーチでは、
満貫において頻出となる「メンピン○△」の7700がありません。
跳満率もかなり減少していますからどんどん差し込みましょう
競争相手の状況にもよりますが、
5200~8000あたりの差(マンガンに刺さると返ってしまう)であっても競争相手が逆転手テンパイ気配であれば、
リーチドラドラの5200まででお願いします!
と競争相手の現物などで差し込みにいくのは有効な場面があるので意識しておいてください。
(2)鳴き手に差し込む
これはドラの枚数を見れば打点はある程度見えますのでそこで判断します。
もちろん前述の通り
「競争相手の和了よりも低確率の放銃(以下事故と呼ぶ)でなら着順が落ちても良い」
ということになるのでそこを意識します。
ではどの程度を事故とみるかですが、
ドラが残り4枚なら、内3枚をアシスト対象が持っているというのはほとんど事故として処理していいですし、
晒した牌によっても(例えば3フーロの晒しにドラ無しなら)
場にドラが全生きでもアシスト対象の手牌残り4牌中3牌がドラである事態は事故です。
このような打点判断の基準ですが、
基本的には
使えるドラの1/3は持っている確率が高く、
1/2を超えて持たれるのは事故と見て良い。
またターツすべてがドラ入りである可能性は低い。
と考えます。
例えば
6500以内差の競争相手(メンピンツモ裏で返る)がいるときに、
5枚ドラが使えるタンヤオ相手に7700は事故だと思って3900に差しにいくことは有効な戦術になります。
また打点がフーロ役にも左右されることを意識してください。
ヤオチュードラ時のクイタン赤や、
ドラが使えないメンツを複数必要とする食いイッツーや食い三色など、
3900すら事故と思っていい場面があります。
例えば競争相手と2200差となると競争相手に逆転される確率も飛躍的に高まりますから、
ドラヘッドや赤赤への放銃をしょうがないとみて、2000点に打ちにいくべき場面はかなりあります。
罰符で返ってしまう点差では自分で手を作ると押しを強制されるので、
和了の見込めない手から流局まで外せないテンパイを目指すより、
3900は事故と思ってアシストに回る方がはるかに着順死守率が高くなります。
この辺はいきなり実戦に組み込むのはちょっと難しいですが、
とりあえず「刺さって逆転されてもいい場面がある」という意識だけは持っておくといいと思います。
また相手が鳴き手の場合は聴牌率による放銃率の低下も判断要素となります。
ようするにリーチと違って張っていない可能性があるため放銃率が低下すると言う話ですね。
どの程度張っているかの判断は別の記事で上げるとして、ここでは簡単な例だけを挙げます。
例えば競争相手と3000差で、下家1フーロの時
ここで1フーロの下家が張っていてかつ3900というのは確率が高いことではないので、事故と思ってアシストに回ります。
特に、自分が降りてしまうと自家と下家の和了率が共に低下してしまい、
競争相手の和了率がかなり上がってしまうという点は意識すべきです。
そして次のフーロが入ったのち、
・アシスト対象が赤入りで鳴くなど3900の可能性ある聴牌気配になったら降り
(ここで降りても下家は2フーロで、テンパイ率の上昇からある程度下家の和了は期待できるため、競争相手の和了率はそこまで上がりません)
・アシスト対象の鳴きが安手濃厚ならそのまま刺しまで面倒
といった考え方ができます。
このような2フーロまで鳴かせてからオリるか刺すかを決めると言った戦術が有効になる場面は多いですから意識してみるといいと思います。
自分が上の着順を狙える場合
自分にも狙える上の着順があり、かつ下も近い場合です。
この場合は単純に自分の着順上昇をどの程度見込めるかで判断します。
この時重要になるのが、点差だけでなく自分の手牌と相談しなければいけないことです。
和了率なんて、いけそうな手を手なりで打ってようやく30%程度ですから案外逆転率は高くなく、自然に狙える打点で逆転できないならまずアシストに回る方が有利となります。
例えば、1位と4000差、3位と7000差の2位だったとします。
点差的にはかなり上を狙いたいところですが、
メンピンツモや3900出上がりで返らないため手牌によっては逆転が難しい。
そして注意したいのは相手の和了率は25%で平均打点は6000ではない点。
こちらがクズ手だと自分の和了率や打点が下がる分3位の打点や和了率が上がってしまっている点です。
トップの下家にフーロが入った段階でこちらが無メンツのドラ無しの手だったとします。
この場合は40%近く逆転される可能性があり、こちらの逆転率は10%も無いでしょう。
点差ではトップの方が近くてもアシスト有利になってしまいます。
なおこの技術は判断が微差であるため、
まだ鳴き手とわかっていない下家にアシストすることはほとんどありません。
1フーロ目が入り次第考えることですので、
鳴き手とわかっていない間は自分の逆転手を作ることだけを考えればいいです。
まとめ
以上が差し込み・アシスト技術の基礎です。
この記事の長さや取り上げる局面の頻度から見てわかるように、
この技術は判断が難しい局面が多くなってしまいます。
その際大事になるのは前述の通り、
「成績に影響があるのは有利さが明らかとなっている時であり、境界線の判断はどちらでも大差ない」を意識することですので、
明らかにアシスト有利な状況を見逃さないように心掛けるのが大事となります。
「境界線上の判断は適当に、大差の局面をしっかり打つ」
これは差し込みだけでなく麻雀技術全体に言えることですので、意識して検討などに向かってください。
またこの基礎を元にしてどうやってこの技術を磨いていくかですが、
アシスト対象の待ちや受けの読み技術よりは、他家の挙動を読む技術を磨く方が効果が大きいです。
・押し気味に打っているのか引き気味に打っているのか
・打点はどの程度を目指して打っているのか
などを考えていくことがオーラス成績の向上に繋がりますので、
この記事の基礎が身についたら考えてみてください。
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麻雀戦術/点数状況判断技術 |



