期待値について

前回は手牌のパーツ分けについてお話しましたが、これは、手牌という状況を正しく把握する技術、言わば、「認知」の技術です。
今回から扱っていくのは、そこから打牌候補を挙げて比較する技術、即ち「判断」の技術になります。

選択の手順で述べましたように、特に条件がなければ(局あたり収支期待値)=(和了率)・(打点)+(非和了時収支期待値)が最大になるような選択が最善手となります。

期待値というと、何やら小難しい計算をする必要があるというイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

然し、期待値の具体的な値が分からなくても、どの選択が最大になるかさえ分かれば最善手を選べます。
重さがどれくらいかを知るには目盛りがついた量りが必要ですが、どちらが重いかを比べるだけならただ天秤にかけるだけでいいのと一緒です。

比較の対象となる要素は色々ありますが、これについても、期待値に影響を与えやすい要素を比較するだけでも多くの場合は正着を求めることができます。
どちらの財布にたくさんお金が入っているかを比べる場合、入っているお札の金額が分かれば小銭については調べなくても大抵の場合事足りるのと一緒です。

では、具体的に比較すべき要素にどのようなものがあるか、的確でスムーズな選択をする為にどのような手順で比較すべきなのかについて、和了率、打点、非和了時収支の3つの観点に分けてお話していきます。

和了率

和了率を考える指標には、「シャンテン数」「シャンテン成功率」があります。

テンパイまでに必要な手数のことをシャンテン数と言いました。
和了にはテンパイからもう一手必要なので、和了する為にはシャンテン数+1のステップを全てクリアする必要があることになります。

全てのステップをクリアすることが必須である以上、基本的にシャンテン数が低くなるような選択が和了率の面で有利になると言えます。

ステップをクリアする、即ちシャンテン数を下げる行為は大きく分けて以下の3つからなります。

(1)(面子候補不足の場合)浮き牌から搭子を作る

(2)(ヘッドレスの場合)
浮き牌から雀頭を作る

(3)搭子から面子を作る

逆に、以下のような選択をするとシャンテン数が上がります。

(1)搭子を落として面子候補不足になる

(2)唯一の対子を落としてヘッドレスになる(面子固定する場合を除く)

(3)面子を落とす(ヘッドレスから雀頭を作る場合を除く)

シャンテン成功率とは、シャンテン数を下げることができる確率です。

これについても、高い方が和了率の面で有利になることは言うまでもありません。
但し気を付けないといけないのは、目先のシャンテン成功率より、将来のシャンテン成功率が高くなるような選択の方が、和了率の面で上回りやすいということです。

これについては、麻雀大学の、「シャンテン成功率」にその理由が書かれていますのでここでは説明を省略させていただきます。

将来のシャンテン成功率を重視するという考え方は大変重要です。
シャンテン成功率」で取り上げられているようなターツオーバーの牌姿からはターツを落とすのもそうですが、面子候補不足の手で258とあったらリャンメン搭子ができやすいように2か8を切る(目先のシャンテン成功率は5を切る方が高い)のも、面子候補十分の手から複合搭子を単独搭子に固定する場合、単独搭子にしても面子になりやすい複合搭子を固定するのも同じ理由からくるものです。

但し、これはシャンテン数を下げるツモだけを比較した場合の話で、将来のシャンテン成功率を高める為に変化を挟む必要があるとなればまた話は別です。
そして、シャンテン数を低くするような選択が有利になりやすいのと同様に、多くの場合は目先の受け入れを優先する方が有利になります。

まとめると、変化よりは受け入れ優先、受け入れ同士では将来の受け入れが良くなるような選択を優先すると言えます。

実はこういった考え方は、和了率だけでなく打点や非和了時収支を考えるうえでも非常に重要で、手作りの根幹をなすと言っても過言ではありません。(逆に言えば、手作りに関して従来の戦術書に見られる誤りのほとんどはこの考え方が欠落していることに起因する)

次回は打点、非和了時収支の観点から、手作りについての考え方をお話していきます。


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