ダマ及び一向聴時のパラメータに関する考察(後編)
第4 サンプル数と期待値指標のずれについて
さて、シミュレーション結果は全部揃っているのだが・・・。
今回は、サンプル数と誤差の関係から書く。
シミュレーション結果とまったり麻雀の具体的な値(ここでは期待値指標になるが)の具体的な違いは次回以降(十分良形待ちは次回、純悪形待ちは次次回)に書くことにする。
どれくらいのサンプル数があるのか、期待値指標(和了率から放銃率と被ツモ率を3で割った値を引いた値)のずれはどれくらいかをグラフにしたのが、下のグラフである。
黒い直線が、サンプル数と期待値指標の最大誤差(95%)を示したものである。

まず、最初に言うべきことは、準先制立直の場合と比べてサンプル数が少ない。
その結果として、シミュレーション結果と実測の乖離が準先制立直等と比べて大きくなるといえる。
もっとも、期待値指標のずれが黒の曲線を超えた点は1点しかなかった(20分の1でこの曲線の外側に出る)。
とすれば、このシミュレーション結果は結構まったり麻雀の結果をうまく再現しているのではないかと思われる。
さて、上の結果をもとに、準先制ダマにおける期待値指標のずれ、つまり、期待値の誤差を見積もってみる。
まず、サンプル数を200に限定した場合(30点中20点)、期待値指標のずれの平均値・標準偏差は、4.07・2.82であった。
また、サンプル数を500に限定した場合(30点中12点)、期待値指標のずれの平均値・標準偏差は、3.63・3.01であった。
とすると、準先制ダマ(とこれに同視できる先制ダマ)の場合、一シミュレーション結果に内包される誤差を期待値指標に換算すると、多く見積もって約8.6程度になると思われる。
具体的な期待値に換算すると、和了時収入点が約5000点(これは放銃時の平均得点でもある)だと430点、それ以上の場合は和了時収入点の8.5%程度ということになる。
誤差については準先制立直の場合よりも多い。
原因としては、データが少なくてたまたま偏った結果が出ていることのほか、まったり麻雀から得られたパラメータを利用していないこと、(それとは裏返しの関係にある)ダマの実測データが東風荘の牌譜から得られたデータでないこと等様々な理由が考えられるが、現在の私には、原因を特定することができないので、今回は誤差の原因を列挙するにとどめておく。
以上で、サンプル数と期待値指標のずれに関するお話は終わり。
次回は、具体的なデータ(シミュレーション結果とまったり麻雀の結果)の対比をしようと思う。
第5 十分良形待ちにおけるシミュレーション結果とまったり麻雀の結果の比較について
十分良形待ち(当たり牌が2種5枚以上の場合)のシミュレーション結果とまったり麻雀の結果を比較したところ、次の通りになった。
なお、サンプル数が200以上ある順目は4順目~13順目、500以上あるのは6~11順目であった。

グラフを見ると・・・。
2順目~10順目における和了率はよくあっている。
しかし、期待値指標については、準先制立直良形待ちと比べてあんまり合っていない。
原因は、前回で示した通りである。
準先制ダマ十分良形待ちのデータ比較については、これでおしまい。
次は、純悪形待ちについてのデータの比較を行う。
第6 純悪形待ちにおけるシミュレーション結果とまったり麻雀の結果の比較について
純悪形待ち(当たり牌が1種3・4枚の場合)のシミュレーション結果とまったり麻雀の結果を比較したところ、次の通りになった。
なお、サンプル数が200以上ある順目は3順目~12順目、500以上あるのは5~11順目である。

グラフを見ると・・・。
2順目~9順目における和了率はよくあっている。
しかし、期待値指標については、準先制立直悪形待ちと同程度の整合性しかない(ひょっとしたらもっと悪いかも)。
原因は、前述の通りである。
ただ、サンプルが500以上ある5順から10順までの期待値指標のずれの平均値・標準偏差は約2.9・約2.7であった(十分良形待ちの場合、期待値指標のずれの平均値・標準偏差は、約4.3、約2.9)。
純悪形待ちのデータの方が十分良形待ちよりも期待値指標のずれが小さい。
こうなった理由はたまたまだと思っているが・・・。
通常良形待ちの方が整合性がよいため、今回の結果は意外であった。
これにて、純悪形待ちデータについての比較を終わる。
準先制ダマ聴牌のデータ比較については、これにておしまい。
第7 先制ダマのシミュレーション結果等
まず、先制ダマのシミュレーション結果から。
良形待ち(ノベタン又はリャンメン等)の先制ダマのシミュレーション結果は以下の通りである。

科学する麻雀のダマのグラフよりも和了率等が小さい。
これは、ダマ時の相手の聴牌化率が倍になっていること、ダマテンパイのときの和了時ツモ割合が(「科学する麻雀」のパラメータよりも)上昇していることからこのような結果になっている。
次に、悪形待ち(数牌シャンポン・数牌単騎・カンチャン・ペンチャン)のシミュレーション結果は以下のとおりである。

こちらも「科学する麻雀」のグラフよりも悪い。
その理由は上で述べたとおりである。
もっとも、局内収支期待値と平均順位の関係がリニアになる場合(所謂「平場」)、「先制聴牌は即立直すべき」という結論は変わらない。
むしろ、「(局内収支期待値の観点だけでみれば)例外領域が少なくなった」とさえ言える。
ダマの方が条件が不利になったので、その結論は当然である。
また、「科学する麻雀」においては打点が同等な場合、「先制リャンメン立直」=「先制ダマ悪形」ということになっていたが、ダマの条件を修正した結果この等式は成立しない。
証拠として、先制リャンメン立直の期待値指標と先制ダマ悪形待ちの期待値指標を掲載したグラフを下に掲載する。

「先制リャンメン立直」と「先制ダマ悪形」の期待値指標の差は12順までだと10以上ある(13順以降になると、10を割り込む)。
とすれば、「『先制リャンメン立直』と『先制ダマ悪形』の打点が同等であり、かつ、両天秤にかかる形がある場合は、終順を除き良形立直を選択した方がよい」と言える。
(期待値指標には、立直棒が没収されることが検討されていないため、両者の差が5程度ない場合は、むしろ悪形待ちを選択した方がよいということは十分ありうる)
第8 まとめ
以上、準先制ダマについての適切なパラメータを挿入してシミュレーションを行い、まったり麻雀の結果と比較した。
なお、「まったり麻雀から得られるはずのパラメータ」と「第二東風荘で得られるパラメータ」(ランダム牌和了率・聴牌化率等)は厳密には一致しない。
しかし、にもかかわらずまったり麻雀の実測結果とシミュレーション結果はそこそこ一致する結果を示した。
これは、ある程度強くなった(例えば、過去の東風荘の超ランを想定してみよ)場所では、数値シミュレーションに用いるパラメータはそれほど変わらないことを意味する。
おそらく、天鳳の鳳凰卓・特上にも、今回の結果はある程度反映させることができると思われる(もちろん、赤ありの影響は避けられないので、その分の修正は必要だろうけれども)。
また、今回のシミュレーションは準先制ダマという状況における他家の挙動を見積もったわけだが、、、。
誰もが立直棒等を出していない状況では、「自分がダマかイーシャンテンか」は他家からは見分けがつかないはずである(もちろん、2~3副露や立直している状況でばしばし無筋・片筋牌を切り飛ばしていれば、分からなくもないだろうが)。
とすれば、今回のパラメータは、「自分がダマテンの場合」だけではなく、「(自分が聴牌をしておらず、)誰も立直棒を出していない場合」にも成立するのではないかと思われる。
そこで、私がイーシャンテン等のシミュレーションを行う際には、自分あるいは他家が立直している場合には「シミュレーションの精度」で求められた聴牌化率に従って、自分あるいは他家が立直していない場合には今回求められた聴牌化率(立直の場合の2倍)に従って、ノーテンから聴牌に転じることにする。
これにより、自分がテンパイの場合だけではなく、ノーテン(イーシャンテン等)の場合についてもそこそこ正確なシミュレーションが可能になるのではないかと思われる。
なお、今までのノーテンでのシミュレーションでは、「2倍」という数字の代わりに「流局時聴牌化率の逆数」を用いていたが、「2倍」の方が整合性がよいため「2.0倍」とする。
2倍という数字ではなく「流局時聴牌率の逆数」を利用していた例は、
ドラ単騎?リャンメン?テンパイ崩し?
国士に関するシミュレーション
ダブリーカンチャンを蹴る!!
現代麻雀技術論「嘘の教え」に挑戦する
とつげき東北の出題に挑戦する!
凸からのミッション「東大生倒しましょう」に挑戦する
がそれにあたる。
再試を試みられる方はその部分のパラメータが異なっているため注意されたい。
第9 謝辞
最後に謝辞を。
今回結論を出すにあたっては、東風荘の多くの方々の牌譜を利用している。
これらの牌譜がなければ、このシミュレーションは決して出来なかったであろう。
そこで、まず、牌譜を公開していただいた方々にお礼を言いたい。
また、「科学する麻雀」及び「できすぎ君」がなければ、当然今回の結果はなかった。
とつげき東北氏にもお礼を申し上げる。
さらに、麻雀アルゴリズムを使って研究をしているkmo2氏の結果がなければ、今回のようなシミュレーションを行うことができなかった。
kmo2氏に対してもお礼を申し上げる。
あと、これを読んでくれたにもお礼を申し上げます。
どうもありがとうございました(ペコリ)。
(終)
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